HONDA MD90:再整備#14 エキゾースト・ガスケットを外す

4年前の整備でもマフラーを外していたのですが、そのときにはガスケットが入っているようには見えず、そしてまた郵政カブにも使えるタグのついた社外品のガスケットが私の車両には合わなかったこともあって、液体ガスケットでお茶を濁していたのです。

で、ホントのところ、アルのかナイのか。何せ古い中古車だもの。過去ユーザがどう処理していたか分かりませんし、私にとって初めてのカブ(そして初ホンダ)でしたから、初期状態が分からないんですよね。ともあれ、下向きで確認しづらい箇所なので、スマホのカメラで撮影してみる。なんか、アルような気がする。

その撮影から1ヶ月。純正ガスケットが届いたところで、汚れを落として再確認。汚れを落としたらなおさらエンジンと一体化しているように見えてしまい、単なる段付き構造なんじゃねぇか? やっぱガスケットはナイんじゃないか??という疑念が湧いてくるわけですよ。

そんな疑念を持ちながら、マイナスドライバーで段差の内側をなぞってみる。隙間は、ない。ラスペネを塗って少し強めに押し込んでみる。ほんの少しだけ、角が入った。エンジンとガスケットの隙間か? エンジンのアルミパーツをえぐっているのではないか??

余りに自信がなくなってきたので、ここで一旦作業を中断して、カブのエキゾースト・ガスケット周りの写真をネットで探してみる。だけど、ほとんどが「これから作業しますよ」写真で、ガスケットを外したあとの写真が見当たらず。いわんや古い郵政カブの写真をや。ともあれ、調査の結果、普通のカブのエンジン側にはガスケットの台座となるような段差はなく、ツルンとしている可能性が高そう。

ということで、確信はないけど「絶対にアル」という思い込みで、再度ラスペネを注入し、ガツンとハンマーでドライバーをぶっ叩く。グニッと入る。あ、やっぱアルよ、これ。

ということで、ガスケットがない状態だと、ツルンとしてますよ、二段構造なんかじゃありませんよ、と。

なんて、カブ系エンジンでは常識なのかもしれないけれど、知らなかったものは知らなかったんだもん。

そして、新旧ガスケットの比較。

だがしかし。一連の整備を終え、マフラーがつけられるのはいつの日か。

|MD90再整備|#1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19

HONDA MD90:再整備#13 フューエルラインの交換

あちこちのサビも問題だったのだけれど、それと同程度に気になっていたのがゴム製品の劣化。取り立ててガソリン漏れなどは起こしてなかったとはいえ、事前にキャブレターのドレンからガソリンを全抜きしてあったし、フューエルラインのホースを交換するには良い機会だな、と、作業開始。
※私のMDはP型です。

両サイドカバーを外してからタンク下のボルト4カ所を外し、タンクをフリーな状態に。

フューエルラインはフレーム内を貫通しているので、作業の邪魔となるバッテリーを外して…

ボルト2本でフレームに固定されているバッテリーを収めるプラ容器を外したら、作業準備完了。

カブの燃料コックはキャブに付いているので、タンク側にガソリンが残ったままホースを外すとエライことになりそう。ホントはホースの途中をナニカで潰しておくべきでしょうが、硬化したホース相手にゃ無理な相談。よって、ドキドキしながら作業開始。上がリザーブ、下がメイン。

だがしかし。固着が激しくマイナスドライバーでコジったくらいでは動かない。そこで、カッターで開腹することにしました。コック側の金属部を傷つけないように、繰り返しうっすら切り開いていくと、ガソリンがじわり。先生!出血です!! 切開作業の手を早め、そそくさとホースを剥ぎ取り、用意していた容器に先端を突っ込む。幸い、ごく少量(ほ)。タンクではなくホースに残っていたものかと。

キャブ側を抜いたら、タンク腹側から出ているホースに着手。よくよく見たら、リザーブのホースが数ミリ縦に裂けてました。普段目にするところじゃないものねぇ。交換する気になってヨカッタ。

ホースをフレーム側に残し、タンクを取り外した姿。
右がリザーブ、左がメイン。

タンクの腹側。リザーブ出口の横に「R」の刻印があります。

タンクをひっくり返した状態だと左右逆になっちゃいますが、正位置で「Reserve は R 始まりで Right」と記憶しておけば、配管ミスを避けやすくなるかも。

今回の交換部品は、ケチって純正部品を使わず、キジマのフューエルライン・ホース(外径9mm、内径5mm、全長1m)を準備していました。部品表からメインのホースが47cmであることは読み取れるのですが、念のため、現物を計測。ホースが湾曲したまま硬化しているものの、ザックリ47cmで正しそう。リザーブの長さも同程度だよ、と。

ちなみに、純正ホースはキジマ製よりも内外径とも若干太く、かつ、区別のためにかメインとリザーブでテキスチャーが異なります。そこらへん気になる人は、純正を使った方が心安らごうかと。

外したついでにタンクの状態確認。「この先あまり乗らないんじゃないか」て予感がしたとき、予め満タン状態にしておくよう心がけていたためか、内部は比較的キレイな状態を保っていたのですが、外回りは当然のごとくサビが進行。

タンクは溶接箇所が多いので、余りサビをほじくり返したくないのと、今回の一連の整備はあくまでも整備であってレストアではない(どこかで区切りをつけないと長期戦になる)ので、マイナスドライバーで軽くコジって塗装が剥げるレベルの損傷箇所のみ、手をつけることにしました(写真はコジったあとの状態)。

キャブの後ろでホース2本を束ねていた金具も酷いサビだったので、コイツも作業対象。

その作業は、(例によって)耐水ペーパーで浮きサビを落とし、サビキラーを塗り、さらに塗料で覆い尽くすパターンです。

タンクのサビ部は、外観よりも機能重視でサビの上から塗れる系のマットブラックを筆塗りに。車体色がオレンジだけに見てくれは大層悪いですが、こうして悪目立ちさせておけば、未来の私がなんとかしようと思うかなと期待(笑)。ホースとの勘合部はピカールで軽く磨き、ホースを束ねる金具はサビキラーの重ねがけとしました。

そして、外したときと逆の手順で、タンクと裁断した新品ホースを装着。もともとホース2本はそれぞれホース保護用と思しき黒いビニールチューブに通されていて、そのチューブがまるで金属かのようにカッチンコッチンに硬化していたのですけれど、大した役目を果たしている部品には見えなかったので再利用することにしましたよ、と。

てな感じで、フューエルライン周りの作業、一件落着。
ガソリン漏れを起こすかどうかは、この先給油したときのお楽しみ!

|MD90再整備|#1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19

HONDA MD90:再整備#12 シートを塗る

私の郵政カブは、沖縄仕様の白シート。でも、もはや白とグレーとダークグレーのマダラシートに変貌。雰囲気からすると、グレー部分がザラザラとした素材の下地で、白がスベスベした塗料、ダークグレーがカビか油染みっぽい。よって、シート表皮全体をキレイにしようと思ったら、全体を塗装するしかなさそう。そういえば、ネイキッドのインパネを塗った時の染めQが残っていたな…。

ということで、下準備として流しで中性洗剤で洗浄。ぜんぜん綺麗にならなかったので、カビキラーを塗って歯ブラシでゴシゴシ。

ダークグレーの部分は、カビだったらしい。ばかりか、グレーの部分まで白くなっていく。あれ?これ、素材色じゃなくてカビだった?? それとも漂白された??

なんか知らんけど、ぜんぶ白くなった。このまま使えそう。

いずれにせよ、シートの汚れの原因は、おおかたコイツら野良猫一家にあるのでしょう。同じスペースに停めていたネイキッドにも、いろんなモノがこびりついていたものなぁ…。

一方、ウラ側はサビが進行。シートの蝶番周りもサビだらけで、給油のために開閉する度にサビ粉が舞い落ちて気分悪かったんですよね。

シート表皮を外そうとすると、サビた留め金が折れてしまこと必至。よって、耐水ペーパーで届く範囲のサビをある程度落としてからサビキラー塗布。

今回の一連の整備って、大きなネガティブを小さなネガティブに引き上げるような、とてもネガティブな作業続きだったこともあり、ここに至り少しはポジティブな作業をしてやろうという気になりました。

ということで、シートを塗ろう。そうしよう。
シート中央の白は残す事にして(だってお尻に色がついたらイヤだもの)、その前後を塗るべくマスキング。

ネイキッドのインパネ塗装から4年以上保管されていた染めQ出陣。エスプレッソブラウンとワインレッドで「使い古された赤茶色の革製品」の再現を図ります。

後ろ側。染色ムラを塗りで再現しようとした結果、少し厚塗りになってしまった箇所もあるけれど、割とキレイに塗れたかな。

前側。生地に波打ちがあったのでマスキングに不安を感じていたら、案の定…。塗らなきゃ良かった。悲しいかな、現実世界ではアンドゥが効かないので、薄め液で部分調整(写真は調整前のもの)。到底ごまかしきれなかったけれど、幸い目立たない面だもの。よかよか。

シート裏面は、サビの上から塗れる系のマットブラックを筆塗り。

シート固定部品は、プラサフとマットブラックでスプレー塗装しました。

これで(しばらくは)給油のたびに、サビを目にして気分が悪くなる事もなかろうて。

|MD90再整備|#1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19

Copyright ©2024 新たまねぎ小屋 All Rights Reserved.