DENON RCD-M41:ごくごく真っ当。

昨年末、ONKYO CR-N775 で CDトレイの動作不良が生じてからというもの、ブルーレイ再生機で代替してみたり、DACヘッドホンアンプを挟んでみたりしながら、次の手立てを考えているうち、DENON か TEAC のコンパクトなCDデッキと、FX-AUDIO- の DAC とパワーアンプを組み合わせた CD 再生に特化した構成もいいかな、という心持ちになりつつありました。

だがしかし。いやちょと待てよ、そもそも俺、ゴチャゴチャするのが嫌になってフルサイズコンポからハーフサイズの INTEC 205 を経て CR シリーズまでダウンサイジングしてきたのに、また配線をのたくらせるのか?なんて疑問も頭に浮かんできて、いささか腹を決めかねていたのです。

そんな折、目前に迫ってきたのが、半導体不足に伴う値上げの第二波。アレコレ考えるのに飽きてきたこともあって、先月末、DENON RCD-M41SP をポチっとな。

RCD-M41 にしたのは、CR-N775 がイマドキのネットワーク機能を実装した代償に、基本的な音楽再生機能がコストダウンされてしまった気配を感じていた(先代 755 と比べて明らかに音が悪くなった)ので、わしゃもう余計な機能は要らんもんね、CD が心地よく聴ければイイんだもんね、という気持ちから。

左:ONKYO CR-N775 右:DENON RCD-M41

CR-N775 とは、基本的なスペックが近いです。
【775】W215 × H117 × D295 mm、2.7kg、実用最大出力 40W+40W(4Ω)
【M41】W210 × H115 × D309 mm、4.2kg、実用最大出力 30W+30W(6Ω)

両者の違いは、根本的なところでデジタル・アンプの 775 に対し、M41 はアナログ・アンプであること。また 775 と比較して M41 には、RCA アナログ出力がない、同軸デジタル入力がない(その代わり光入力が2系統ある)、USB がない、LAN がない、ネットワーク利用の再生機能(DLNA、Chromecast、AirPlay、各種サブスク等)がない、あたり。

ともあれ、設置。ほぼ同サイズなので、置き換えに余計な苦労なし。ONKYO 製スピーカー(D112-EXT)を繋ぎ、そそくさと各種設定を済ませ、早々に CD をかけてみれば…。

※音質関連の設定例
 Source Direct: ON, Super Dynamic Bass: OFF, Bluetooth: OFF, セットスピーカー最適化: OFF

音の輪郭がクッキリしてて、メリハリもある。ただ、なんか、ドライというか無機質な感じ。CD デッキに直接ヘッドホンを繋いで聴いた時の音色に近いんだけど、どうしたってスピーカーから出せる現実的な音量ではヘッドホンほどの迫力には至らないので、なにやら冷静に音楽をモニターしてるよな心地になりました。さらに言うと、男女ともにヴォーカルが弱目で、ちょっと奥に引っこんで聞こえる印象あり。

775 同様、M41 付属リモコン(写真 右)にも CD イジェクトボタンなし。
私ゃソコソコ使う人だったので、なんでなくすかって感じ。

某価格比較サイトでは、CR-N755 から買い換えた人が 755 ほどではないやとボヤいてましたけれど、その気持ちは分からんでもないです。以前の ONKYO 製品って、ウォーム&シットリ派が好みそうな音してたんだけど、この M41 は明らかにクール&ドライ派ですもの。両者のギャップは大きいですな。

じゃ、CR-N755 から 775 を経て M41 に至った私はどうかというと。二歩下がっていたところから一歩進めた気分になれたので、全然オッケーっす。音に対するメーカー間の方向性の違いなんざ、今の音に耳が慣れてしまえば忘れてしまうだろうし、問題なしっすよ。

総じて。音がすんばらしい!ほどではないものの、コストパフォーマンスが素敵な製品ではありましょう(今月から値上がりましたけどね)。きっと、高校生の頃の私にプレゼントしたら、素直に喜んでくれるんじゃないかな。LINE OUT がないじゃん、録音できないじゃん、って後から文句言われそうですが。

ONKYO CR-N775:いまさらUSB(何気に便利でした)

CR-N775 の CDトレイが開かなくなってから、早5ヶ月。いくつか暫定対策を打ったままで初夏(陽気はね)を迎えてしまいました。

その間、例えば CD レシーバーをまるっと買い替えたらどんな選択肢があるのかなと調べているうち、2系統の USB 接続が可能で、しかも日本語表示に対応し、なおかつ LINE OUT がついてる CR-N775 って、かなりユニークな存在だよなぁと、改めて気付かされたのです。

つまり、本機を物理メモリ経由の音楽ライブラリ(&各種ネットワーク)再生装置とみなし、新規 CD レシーバーないしアンプの LINE IN に繋いで利用すのもアリかな、と。てことで、今まで使ったことがなかった USB 経由の音楽再生を試すことにしました。

CR-N775 の USB は 2.0 で、接続できるのは FAT16/FAT32 でフォーマットされた USB メモリ。使わなくなった時の再利用まで考慮すると、Windows での FAT32 フォーマットの最大容量である 32GB メモリ(USB 3.0)が適当なところでしょう。

そこで、フロント用に邪魔にならない薄型タイプ、リア用には抜き差ししやすい小型タイプの格安 32GB メモリ2点を通販で購入。たまさか、会社分割前後の東芝製品の組み合わせになりましたよ、と。

「最良音質が必要なときは CD を再生すべし(ハイレゾ?何それ美味しいの?)」を前提とした私の音楽ライブラリは、ハンドリング重視でソコソコ音質の圧縮ファイルで構成されています。現時点で、6,712曲/675アルバム、計48GB。うまい具合に、2つのメモリを洋楽用(USB Front)と邦楽用(USB Rear)に割り当てて使うことができました。

で、実際に再生してみると。端末から無線で飛ばすより音は良いし、ネットワーク経由と違ってダイレクト接続だと操作や表示に遅延がなくてストレスがない。しかも、最初のソース選択時点で洋楽と邦楽の二つに分かれているから、アーティストからのアルバム選択がさほど苦にならない(本体のダイヤル操作でも実用レベル)。いや、これ、良いですよ。

ONKYO Controller(Android)での USB Rear(邦楽)ルート表示例(私の環境ではアーティスト一覧に等しい)

本体操作によるフローは、INPUT ボタンで USB Front か USB Rear を選択→メディア(USBメモリ)を選択→ ルートからディレクトリを辿り、再生したい楽曲ファイルを選択→選択曲以降のフォルダ内ファイルを順次再生。フォルダの一覧表示は、フォルダ名そのものを文字コード順(数→英→かな→カナ→漢)で、最下層のフォルダ(一般的にはアルバム単位)内の音楽ファイル一覧はファイル名順(一般的には先頭のトラック番号順)に ID3 タグを参照した曲名表示、です。

ちなみに。上でもチラと触れましたけど、私はコンポで音楽を聴くときは CD 再生が多いのです。これはつまり、アルバム単位でアルバム収録順に曲再生するのが性に合っている、てことですね。以前、ファイルサーバー上に集約した音楽ファイル再生に DLNA を利用していたのですけれど、本機やアプリでの楽曲一覧表示がデフォルトで曲名順で毎回イラッとしたり、ジャケット画像が外れていたり、場合によっては DLNA サーバに登録できていない曲があったりしてストレスが溜まり、そのうち使わなくなった経緯がありました。そこらへんがオールクリアになったよと。

もひとつちなみに、USB メモリではなく外付ハードディスクを接続することもできます。オンキョーの楽曲販売サービス e-ONKYO との連携用途が主なんでしょうけど、なんとなく、カーステレオで USB メモリ代わりに HDD を繋いで使っている人の記事を読んだ記憶が蘇って、ついでに試してみました。

使用したのは、過去に MacBook Pro(Late 2006)の内臓ドライブとして使っていた 256GB SSD(ADATA ASP900S3-256GM) を外付ケースにしまったモノ。FAT32 の 32GB の壁がない Mac でフォーマットし、今回の USB メモリに準じたディレクトリ構成でいくつかの楽曲を保存、そして USB Rear(DC 5V/1A)に繋いでみれば。ぜんぜん、オッケーっすよ。フツーに使えました。ただまぁ、あんまり大容量で曲数が増えると、曲探しでうんざりしそうですけれどね。

てな感じで、(音はそんなよくも無ければ、ずいぶん早く CDトレイが壊れやがったけど)メディア対応には優れているよなコイツ、と、改めて見直した次第です。

ONKYO CR-N775:ブルーレイ再生機に DAC ヘッドフォンアンプを繋ぐ。

今まで使ってきた ONKYO 製の CD デッキやレシーバー達は、たまたま「買い替えても良いかなー」と思えるくらいの間隔で壊れてきたのですが、今回の CR-N775 は購入から高々2年半で壊れたものだから、なんか納得できない。素直に買い換えてやるのが、なんかシャク。方や、音がイマイチなモデルでもあったから、分解して直してやる手間をかけるのは、それはそれでシャク。

かてて加えて、昨今の半導体不足に伴うオーディオ製品の値上がりと、そもそものところで積極的に欲しいと思える代替モデルが存在しなかったものだから、リリーフとして安価なブルーレイ・プレイヤー SONY BDP-S1500 を導入してみた、というのが前回のお話の背景事情、というか、気分的なトコロでした。

そんなモヤモヤっとした心持ちでいるうちに、どーせ CD 再生メインで使うのだし、CD デッキのほかは NFJ あたりのコンパクトな DAC とパワーアンプで構成してみるのもイイんじゃね?という考えが浮かんできたのです。

さりとて、いきなりパワーアンプを買うのは冒険が過ぎるし、まずは他に転用しやすい DAC 機能付きヘッドフォンアンプで音の傾向を確認してみようかと、いつしか FX-AUDIO- DAC-X6J をポチっていたのでした。

DAC-X6J の入力は、光と同軸のデジタル音声信号と PC接続用 USB-B で、それら3ソースを正面のスイッチで排他的に選択可能。出力は、音量ダイヤル付きのヘッドホン端子(私好みの標準プラグ)と固定ボリュームの RCA PIN 端子で、同時利用可。

AC アダプター(DC 12V/1A以上、DCジャック5.5mm×2.1mm、センタープラス)は別売なのですが、こんなこともあろうかと捨てずにおいた Seagate/ELECOM 製 USB 外付ハードディスクドライブの電源アダプター(DC 12V/1.5A)が使い物になりましたよ、と。

さっそく BDP-S1500 と同軸ケーブルで繋ぎ、ヘッドホンで音の確認。したら、すげぇ迫力(笑)。下から上までメリハリよく DA 変換された音色を、実直過ぎるくらいにアンプでドカン!と増幅した、ズンドコシャーン!と派手な感じなのです。密閉型のヘッドホンでは、おっさんの耳には刺激が強すぎて少々シンドイ。

聴いているうちに高音のカスレと残響のデジタル的な粗さ(画像でいうなら高圧縮JPEG的なジャミジャミ感)が気になったので、同軸ケーブルを繋ぎ変えて CR-N775 で DA変換&ヘッドホン試聴してみたら、音圧の違いはあれど、高音と残響は同傾向でした。してみると、送出側(BDP-S1500)の問題、ということらしい。ソニー製とはいえ、一番安価な映像再生機ですものね。ましてやハイレゾ対応を謳う上位機種が存在する以上、本機の音質面にコダワリがあるとは考えづらく、まぁ、しゃあないかなと。

さりながら。ここ2ヶ月近くスピーカーから音楽を流している間、実際ソコラヘンの雑音は気になっていなかった訳で。そこで当初意図していた通り、DAC-X6J で DA 変換した音を 775 の LINE IN 経由でスピーカーから出してみたら、ヘッドホンで聴いたときと同傾向で音圧高めなものの、中低音は太いまま高音域が控えめでまろやかになり、そしてありがたいことに、いい具合に高音のカスレがカットされ、残響の汚さが埋没し、ほぼ気にならなくなりましたよ、と。いやはや、アナログ・マジックだなぁ。

気になるといえば。どちらかというと穏やかで素直な音を出すオンキョー製品から、CD 再生のときだけマランツ製品の様な重めの音が出てくるようになった点かしら(笑)。たまたま渡辺貞夫のベストアルバムを流していたら、サックスよりもベースやドラムが目立つような…。いやいや、主役はあんたらじゃないから。

ともあれ、従前より音にメリハリがついた点は喜ばしい限りですし、DAC を換えただけでここまで音が変わるとは予期していなかったので良い経験にもなりました。購買意欲がそそられる商品が現れるまでは現状構成で使いますかね。

しかし、どうなんだろう。いま音質的にオンキョーに近い製品を選ぼうとすると、ヤマハになるのかなぁ。つい先日発売されたテクニクスの CD レシーバー SA-C600 は、少し良さげな雰囲気だなぁ。ちょっと値段が高くて大きくてヘッドフォン端子がステレオミニなのが興を削ぐのだけれど。

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