アンディ・ウィアー:火星の人

このあいだ観た「オデッセイ」が面白かったので、原作本を読んでみました。

理屈づけがガッチリしているのでジャンル的にはハードSFなんだろうけど、大半が一人称「ぼく」の口語体で記されていることもあって、雰囲気はラノベ的。おかげで上下巻、すらーっと読み進めることができましたよ、と。なかなか面白かったです。

映画では説明が足りなかった理屈や心理描写が原作にあって、方や、映像でなければ分かりづらい描写が映画にはあってと、両者が丁度よい具合に補完し合っている感じです。原作を読んでから映画を観た人も、映画を観てから原作を読んだ人も、どちらも満足できるんじゃなかろうかと。つまるところ、上手いこと映画化しやがったなリドリー・スコット、であります。

なお。一人称が「ぼく」だと、本を読んでいる間に脳内で形作られる人物像って、どうしても10代〜20代前半のナヨっとした男性になってしまうのだけれど、先に映画を観ていた私の脳内ではマット・デイモンの姿で置き換えられていました。これは良かった、かな。同じく「ぼく」で語られるハインラインの「夏への扉」なんぞは、最後の最後で脳内で形作られていた人物像が崩壊しましたからねぇ…。なんて、一人称にいろんな言い方がある日本語ならでは、か。訳者も大変だ(笑)。

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