アンディ・ウィアー:火星の人

このあいだ観た「オデッセイ」が面白かったので、原作本を読んでみました。

理屈づけがガッチリしているのでジャンル的にはハードSFなんだろうけど、大半が一人称「ぼく」の口語体で記されていることもあって、雰囲気はラノベ的。おかげで上下巻、すらーっと読み進めることができましたよ、と。なかなか面白かったです。

映画では説明が足りなかった理屈や心理描写が原作にあって、方や、映像でなければ分かりづらい描写が映画にはあってと、両者が丁度よい具合に補完し合っている感じです。原作を読んでから映画を観た人も、映画を観てから原作を読んだ人も、どちらも満足できるんじゃなかろうかと。つまるところ、上手いこと映画化しやがったなリドリー・スコット、であります。

なお。一人称が「ぼく」だと、本を読んでいる間に脳内で形作られる人物像って、どうしても10代〜20代前半のナヨっとした男性になってしまうのだけれど、先に映画を観ていた私の脳内ではマット・デイモンの姿で置き換えられていました。これは良かった、かな。同じく「ぼく」で語られるハインラインの「夏への扉」なんぞは、最後の最後で脳内で形作られていた人物像が崩壊しましたからねぇ…。なんて、一人称にいろんな言い方がある日本語ならでは、か。訳者も大変だ(笑)。

オデッセイ(The Martian)

週末、「オデッセイ」を観てきました。リドリー・スコットのことだから、シリアス演出で臓物的なオドロオドロしさがあるのかと思いきや、全編通してストレートな娯楽作品でありました。「テルマ&ルイーズ」にも通じる、前向き映画ですな。そこらへん全く予期していなかったので(笑)、作品世界に馴染むまでに時間がかかっちゃいましたよ、と。実話ベースの「アポロ13」ほどカタルシスはなかったけれど、宇宙飛行士のくせにパニクリまくる「ゼロ・グラビティ」と違って、皆さん仕事がプロフェッショナルで良ござんした。

火星犬気分
(半段暗くすりゃ良かったな)
PENTAX K-S2 / HD DA 35mm F2.8 Macro Ltd.
f5.6, 1/80, ISO200

【追記】後日、原作を読みました。これまた面白かったです。

筒井康隆:モナドの領域

士農工商SF時代における日本3大SF作家の一人である筒井康隆の本は、学生時代にそのほとんどを読んでいたものの、「パプリカ」が最後になっていたので、ほぼ20年振り。

ちょっとズルいなぁとニヤニヤしつつ、楽しく読み終わりました。
きっと、ニヤニヤしながら執筆してたんじゃなかろうか(笑)。

自称「最高傑作」は言い過ぎだろうと思うものの、言いたい放題書きやがったな感があるので、言い過ぎも許されるのかもね。

ちなみに、個人的には「俗物図鑑」がベストです。
SFじゃなくってエスクラメントォかもしれませんが!

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