スターウォーズ VII フォースの覚醒

大晦日に「フォースの覚醒」を観てきました。小学生のときから全作品をリアルタイムで鑑賞して来た人間としては、あちこちに散りばめられた過去作品のオマージュは楽しかったのだけれど、9作からなるシリーズの1本としての存在感がいまいち弱かったのが残念。

ルーカス不在で「スターウォーズ」として作品が成立しているか否か、なんてことは横に置いとくとして(だって、過去6作でもバラツキが大きいもの)、私的に引っかかったのは以下の点。

一つ目は、登場人物の多くが悩んでたり後ろ向きだったりしたこと。迷いがないのはレイアとポー・ダメロンくらいか。旧作品でのお悩み役は、ほぼ主人公だけだったものね。これも時代の反映かしら。

二つ目は、若い登場人物たちがおしなべて能力的に未熟なこと。例外は、これまたポー・ダメロン。

三つ目は、二つ目と被るけど絶対的なヒール役が存在しないこと。カイロ・レンはアナキン以上の駄々っ子だし、キャプテン・ファズマは出番少ないし…。

四つ目は、戦闘シークエンスがどれも似たような乱戦で夫々の見せ方に大きな差がなくって「またか」感が強く、かつ、主人公たちが逃げてばかりいること。

五つ目は、惑星ごとの異世界感の欠如。全般に「地球でロケしてきました」感が強くて、旧作にあった宇宙旅行感が薄いのですね。

六つ目は、冒頭を除いて緩急なさすぎなこと。ちょっとネタを詰め込み過ぎじゃないかなぁ。常に勇ましい音楽が流れてて、いささか疲れました。

好意的に捉えるのであれば、四つ目までは次作以降でのキャラクターの成長を見せる布石にはなるなのかな、と。最後の二つは、そういう演出をする監督なんだから仕方ないや、と。

もちろん面白いシーンもありました。主人公たちに4のような闊達さが戻って来たことは喜ばしいし、BB-8 のサムズアップはウケたし。もうちょいハン・ソロ控えめで、ポー・ダメロン多めな展開だったら、爽快感が増しただろうにね。

さりながら、もっぺん冷静に眺めてこようかな、と考えております。
途中、尿意に負けて中座してしまった、という裏事情もございますれば!

ジュラシック・ワールド

視覚効果的にエポックだったオリジナルから20年。1作目は爽やかな作品でしたが、その後は混迷というか鬱々とした展開。4作目の本作は明るめなトーンになったとはいえ、爽快感があったのは主演女優さんくらいかな…。オリジナル版に係るネタはいい具合に溶け込んでましたが、追加要素が定番ネタの組合わせに過ぎず物語としての新機軸がなかったのがイマイチな感じでした。もちろん視覚効果は良かったですけどね。

総じて「ID4」あたりとドッコイな存在のような気がしました。さいきんでいうと「ゼログラビティ」同様、疑似体験モノと割り切って、ストーリーはさておいてデッカいスクリーンで映像世界に没入すべき映画かと。

なお、間違えて字幕版ではなく吹き替え版のチケットを買ってしまった私。声のキャスティングが適切かどうか以前に、吹き替えられた声とその他の音の質感の違いが気になって、最後まで作品世界に入り込めませんでした。そこらへんの音の馴染ませ方ってのは、技術的にどうにかして欲しいなぁ。

映画観賞後の夕暮れハロー
PENTAX K-S2 / smc DA 21mm F3.2 Ltd.
f3.2, 1/6000, ISO200, -0.7EV
(絞り開放なのはタダのポカ)

SUPERMAN II : The Rchard Donner Cut

「スーパーマン」シリーズは小学生〜中学生の頃に劇場で観ていて、中でも「2(冒険篇)」はお気に入りの一本だったりします。なんだけれど、「3」にかけてだんだんコミカルな映画になっていくのを残念に思ってもいたのですね(結果「4」は劇場では観ませんでした)。

さて。「1」と「2」は同時撮影されていて、「1」の監督であるリチャード・ドナーからリチャード・レスター(「3」も監督)への交代劇が生じた作品が「2」です。ドナー版は2006年にネットでの要望に映画会社が応えた形で公開されたそうな(当時は仕事にかまけて存在を知らなんだ)。実は比較的最近「I&II」のDVDセットを買っていて、特典映像に入っていたリチャード・ドナーのコメントで当時のオトナの事情はだいたい分かっていたこともあり、こりゃ観てみるべ、と。

いやぁ、随分と雰囲気が違いますね。レスター版には過剰なコミカルさ以外にも全般的な間だるさを感じていたのですが、そこらへんがスッキリ。当たり前ですけど「1」のトーンに近いです。ただ、全てのフィルムが撮影済みだった訳でもなく、レスター版のフィルムと混在しているため、ところどころ不整合を生じているところがもったいない感じでした。シリーズ物として捉えると、気に入ろうが気に入りまいが、ストイックな「1」からコミカルな「3」を繋ぐグラデーション的にレスター版の「2」が成立してしまっているので、ドナー版の立ち位置は微妙なところですね。特典映像の中で「自分がシリーズ化していれば・・・」という発言がありましたが、「リーサル・ウェポン」でのシリーズ構成の上手さを思うに、本当にもったいない。プロデューサーのあほんだら。

それにしても。「1」に対する好評価があり、「2」のドナー版フィルムが大量に存在し、そしてクリストファー・リーヴの他界をきっかけにしたドナー版への欲求の高まりという要素が絡んで初めて世に出たバージョンなわけで、まぁ何とも、こういう巡り合わせで生まれる映画というのもそうそうないでしょうねぇ。再編集作業を思うに、レスター版のフィルムを使わざるを得ない(さらに不足分をスクリーンテスト用のフィルムで補わなければならない)状況にあった、ドナー監督の気持ちを考えると、何ともいたたまれない感じもありますが・・・。

でも、こうした復活劇は、監督冥利に尽きますよね。何年経っても同じネタを何度も何度も撮り直している、一部の日本のアニメ監督(笑)には得られない感激でしょう。

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