プレデター:バッドランド

「プレデター:バッドランド」エンタメ作品として良くできてました。

左はフテネター

過去作を通じ「得体の知れない化け物」から「意思疎通が可能な戦闘魔人」にまで昇格してしまったプレデターさん(以下、Pさん)。もはや「怖い存在」ではなくなったキャラクターの新作映画を作るなら、Pさん視点で文化面から攻めていく方向性はありかなーと思っておりました。

高い科学技術力を有しているくせに技術者が存在する気配がまるでなかったり、男性キャラばかりで女性キャラがいるのかどうか分からなかったり、とか。とかく設定に突っ込みどころ、いや掘り下げどころの多いシリーズですからね。そうした私的な疑問点の一部が、本作でチラと触れられていたのが、少し嬉しかったりして。

さて。長年のシリーズものって、どうしても過去作の引用が多くなりがちなのだけれど、本作ではおおよそ「雰囲気」レベルでさらっと処理されてました。途中からシリーズに編入してきた「エイリアン」シリーズ(+α)ネタも同様。引用元に気づけばハッピーだし、知らなかったとしても、さして面白みが削がれるわけでもなさそうで、そこらへんの匙加減はうまかったです。

また、中盤までに出てきたアレやコレやが終盤にかけて集約していく流れが、実にキレイでした。「ローグ・ワン」あたりが好きな人には受け入れられるんじゃないかな。惜しむらくは、話が進むにつれ、1作目のシュワちゃん的な立ち位置だったPさんが、だんだんワイルドでスピードなツルテカ男の姿と重なって見えてくることかしら(笑)。

なお、どこぞで見かけた監督談話によれば、Pさんと半壊した合成人間の組み合わせは「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」終盤のチューバッカと C-3PO から着想を得たらしいけれど、本編で二人のやりとりを聞いているうちに、私ゃ「マッドマックス2」のマックスとジャイロ・キャプテンを思い出しましたとさ。

最後に、どうでもいい話ですが。同じようなタイミングでブルース・スプリングスティーンの映画が劇場公開されたものだから、本作のタイトルを目にするたんびに、スプリングスティーンの「Badlands〜♪」というシャウトが頭の中に響き渡る症状に見舞われておりまして。早く治癒しないかな、これ。

デューン 砂の惑星PART2

前作「デューン 砂の惑星」はコロナ禍で出不精になっていた所為もあって、テレビ鑑賞になってしまったので、その敵討ち、というわけでもないのだけれど「PART2」を封切り早々に観てきました。

前作で背景説明とキャラクター紹介が済んでいるおかげでしょう、展開がアグレッシブ。登場人物たちは作品内での時の経過を窺える変化をキチンと遂げていて、なんかこう、すごく真っ当な「大河ドラマの2作目」でした。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督との対談でクリストファー・ノーランが「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」を引き合いに出していたのも、納得。

ブレードランナー2049」でも感じられたのですが、ヴィルヌーヴさんは異世界環境に観客を引き込む映像づくりが上手いです。本作では、砂漠と砂虫がすごくイイ。あと、暗がりの中の人物描写も良かったな(シャーロット・ランプリングの目が素敵)。そんな次第で、暗闇の中の大スクリーン鑑賞をお勧めします。3時間超もあるけれど、長さは余り感じませんでしたよ。

ちなみに。私は80年代のデヴィッド・リンチ版もリアルタイムでした。世間的には評判がよろしくないですけれど、私ゃさほど嫌いじゃないです。本作を観て記憶が蘇ってきましたが、意外にちゃんと作ってたじゃん、て感じ(特にビデオ配給の長尺版)。敢えて今、見直す必要はないでしょうけどね。

ゴジラ -1.0

キングシーサー、ではない。

そういえば。しばらく前に「ゴジラ -1.0」を観ていたのでした。

山崎作品ではいつものこととはいえ、ステレオタイプな登場人物が、ありがちなセリフを条件反射的に言い合うばかりのドラマパートではもやもや。相対的に、セリフ少なめの女性陣は良かったかな。

そしてまた山崎作品ではいつものことで、監督が影響を受けた映画の設定やらシークエンスやらが、オマージュでもパロディでもなく、そのまんま引用されているのを目にするたびに、興を削がれておりました。

なんだけど。それはそれとして、ゴジラの見せ方はバツグンに良かったです。最初の水雷戦と初上陸パートだけで、その他すべてのアラが許される感じ。

総じて朝ドラにゴジラが出てきたような映画だったから、エンドロール後にでも、廃墟と化したGHQ本部から這い出てきた萬平さんが「よくやった、福子!」と叫んでくれてたなら、笑顔で劇場を後にできたのになと思いましたとさ。

・萬平:朝ドラ「まんぷく」の主人公。発明家/起業家。戦後GHQに逮捕され、物語を遅滞させる。「よくやった、福子!」「すごいぞ、福子!」が口癖。別の世界線では、巨災対副本部長。
・福子:朝ドラ「まんぷく」の主人公。萬平さんLOVE。本作では、口は悪いが面倒見の良いオバチャンに転生。

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