自作スピーカー3:吸音材の追加

完成から20日ほど経過し、パッシブ・ラジエーター搭載 2.5 インチスピーカーの慣らしもボチボチ終了。試運転中に気になっていたのが、ベース(特にウッドベース)の存在感の薄さ。ドラムのようにアタックの強い低音は目立つのだけれど、同じような帯域でもベースは輪郭がモヤっとしていて、控え目にもほどがあるのです。

制作時は、素人考えで「スピーカーユニットから筐体内に放たれたエネルギーは、変化を加えずパッシブ・ラジエーターに跳ね返した方が良いんじゃね?」というイメージでいたのですが、改めて調べてみると、そうでもないらしい。ということで、吸音材を詰めて音の引き締めを図ることにしました。

吸音材は、サブウーファーで使ったのと同じ HIKARI ALP-200 ポリエステルウール(290円)。背面内寸より少し大きめに裁断。

吸音材に切れ目を入れ、内部配線を挟み込みながら広げる。固定には接着剤等は使わず、内壁とポリエステルウール間の摩擦任せ。

吸音材の充填後、物足りなく感じていたロン・カーターのウッドベースで音の変化を確認。うん。やっとオモテに出てきてくれた感じ。続けて、他のジャズやフュージョンの曲でも検証。全体的に音が引き締まってて、良ろしいんじゃないでしょうか。

ところが。気分を変えてユーミンの曲を流し始めたところで、「えっ?」と驚いて振り向いてしまったくらい、クッキリ・派手な音になっておりまして。生楽器編成のジャズでは気づかなかったけれど、このスピーカーの美点であった軽妙な響きがなくなり、密閉型モバイルスピーカーにありがちなドンシャリ傾向に寄り過ぎていたのです。

吸音材を入れたことによる音の変化の方向性自体には問題なさそうなので、吸音材の量を半分にして効果を減らすことにしました。背面全体は覆っておきたいので、横寸法はそのまま、縦方向は後述の重量調整のため少し長めにした1枚を新たに切り出し。これをさらにハサミで2枚におろし、厚さを半分にした部材を用意。

先に入れた吸音材を筐体から取り出して計量したところ、概ね 2.2g。そこで新たな部材を左右とも 1.1g になるようハサミで長さを微調整し、筐体に詰める。

そして、改めて、ユーミンで確認。うん。オッケー。ユーミン万歳。

それにしても。容量の小さいエンクロージャーだからこそ効果が出やすいということもありますでしょうが、吸音材の有無・量の違いで、こんなにも音の印象が変わるとは思いもよらなんだ。いい勉強になりました。

【自作スピーカー3:, #1, 2, 3, 4, 5, 費用, 調整】

自作スピーカー3:かかった費用

今回のスピーカー制作にかかった費用を以下にまとめます。ただし、木工用ボンドやサンドペーパーなど、手持ちの汎用的な消耗品については割愛しています。あとで吸音材を買うかも知れませんけど、それはまたそれとして。

品名税込額備考
NFJ 2.5インチ フルレンジスピーカーユニット2,2404Ω/15W/MAX30W, 2個まとめ
NFJ 2.5インチ パッシブラジエーター1,0002個まとめ
MDF 450×600×9mm645
MDF 裁断・穴あけ加工2,800
NFJ 埋込型スピーカーターミナル [高品質版]7202個まとめ
NFJ 小型スピーカー壁掛け金具 汎用ブラケット130小 48mm×26mm、2枚1組
ムラコシ オニメE M4×10mm81010本入、8本使用
爪付Tナット(ウィット)W1/4442鉄/三価ホワイト、8本入、2本使用
マグネット吸着用スチールプレート丸型 φ10mm4980.4mm厚、10枚入、2枚使用
ナベワッシャーヘッド タッピング M3×10mm323鉄/三価ブラック、10本入、8本使用
サラタッピング M3×10mm312鉄/三価ブラック、10本入、8本使用
ナベタッピング M4×10mm所有在庫、4本使用
エスコ ナベ頭小ねじ M4×20mm所有在庫、8本使用
和信ペイント ポアーステイン チーク 130ml581所有在庫(ほぼ未使用品)、1/3 使用
アサヒペン 木部用プライマー 300mL所有在庫、1/4 使用
和信ペイント 水性ウレタンニス 130ml所有在庫、1/4 使用
3Mスコッチ 超強力接着剤 プレミアゴールド スーパー多用途2686ホワイト、20g
セメダイン ウッドシール SY-003 500g所有在庫
AMIUKON 24K 金メッキ バナナプラグ AWG-18AWG所有在庫、4本使用
合計11,187

さて。独自設計で1点モノだから仕方ないのだけれど、エンクロージャーのパネル代 3,445円(645+2,800)は、いささか高くついてますね。関連部品まで含めると、市販自作キットのコストパフォーマンスの高さが窺えるってものです。

さらに今回は、鬼目ナットやインチ規格の爪付Tナット、マグネット吸着用スチールプレートなど、あまり一般的ではないパーツを使用したおかげで、やけに締結部品代が高くなりました。

その一方で、塗装関係は昨年のサブウーファー&小型スピーカー制作時の在庫消化に努めたので、追加費用0円で済ませられてヨカッタです。

材料費の合計、1万1千円、か。当初想定よりも高くなってしまいましたが、慣らし開始直後から良い感じに育ちそうな予感がありますし、パッシブ・ラジエーターを使うとどうなるのかな?なんて好奇心も満たされましたし、まぁ趣味の一環としてはソンナモノでありましょう。はい、もちろんオッケーです。

【自作スピーカー3:, #1, 2, 3, 4, 5, 費用, 調整

自作スピーカー3:#5 試運転(×2)

右奥に見える黒い箱が、後述する AC アダプター

といった次第で、いつもの中華アンプ(ELEGIANT)で Bluetooth 経由で音楽再生しながら試運転。

慣らし始めの時点から、アコギやピアノの高音部、それに女性ボーカルがとてもキレイ。また、パッシブ・ラジエーターがキチンと働いているようで、アタックの強いバスドラの低音も小口径なりに出ています。スネアなんかも突き抜け方がイイ感じ。

一方、低音でもベースあたりの響きが弱いのと、中音域全般が曖昧というか混沌としているのが残念。慣らしが進んでどう変わるかに期待です。

試運転中のスピーカー設置場所を変更。中央の CDラジオ(Aurex TY-AN2)とは繋がれてません。

と、言ってるそばから、ELEGIANT の AC アダプターを落して割ってしまいまして。損傷箇所は接着剤で修復したものの、通電するとケースの中からヴィ〜〜〜と音がする。白煙が立ち昇る前に、即廃棄。

試運転の続きは、DENON RCD-M41 の下で HDD 保存の音楽ライブラリ再生機の立場に甘んじていた ONKYO CR-N775 に繋いで行うことにしました。通常の音質調整(Treble/Bass)は中立位置、パッシブ・ラジエーターをしっかり動かしたかったので低音補強(P.M BASS)は ON に設定。

さて。5年半前に CR-N755 が壊れて CR-N775 に世代交代させた際、純正スピーカー(D-112EXT)から出てきた音が悪い意味でフラットで魅力のないものだったので、今回も慣らし用途以外のナニカに対する期待はなかったのです。ところがどっこい、耳あたりの良い、伸びやかな音が出てきて驚いちゃいました。全域元気印の ELEGIANT で鳴らした時と基本的な傾向は変わらず、ベース界隈の音が控え目である欠点は残るものの、中音域の混沌がスッキリ解消されているのです。

アンプとスピーカーの相性問題なんて昔からある話だけれど、期待外れで故障後に2軍落ちさせたレシーバーと、適当に自作した小型スピーカーの組み合わせで、より良い結果が出てくるとは思いもしませんでした。

このままスピーカーの試運転は続けるとして、この先どうしようかな。当初の予定通り AV アンプのサテライトとして使うより、CR-N775 の復権に役立てた方がハッピーな気がするな。ま、吸音材をどうするかという話もありますし、あとでまとめて考えましょ。

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