
海外向け RGB 版 K-3 III が、気まぐれにリコーイメージング直営オンラインストアで売られていることがありまして。その案内が届く度に、あのファインダーはいいよなぁ、でも高いよなぁ、でもあのファインダーは唯一無二だよなぁ、でも最早5年近く前のモデルなんだよなぁ、IV は出ないのかなぁ、出ても更にお高くなるんだろうなぁ、などとグルグルしていたのです。
そんな状況に、なんとなく疲れていた8月のこと。分解用の Super A を購入してから習慣づいていたヤフオク巡りで中古の K-S1 が気になり始め、やがて落札してしまいましたよ、と。私ゃ、K-S2 ユーザだというのにね。

K-S1(2014年9月発売)と K-S2(2015年3月発売)は、基本仕様が似通った兄弟機。後発の K-S2 がミッドレンジのフルスペック機で、逆算的に高気密ボディ、バリアングル液晶、ハイパーマニュアル(前後ダイヤル操作)、無線接続等の機能を省いて小型軽量に特化しつつ、若年エントリー層向けにチャラくしておいたのが K-S1、といえそう。
K-S2 が当時の防塵・防滴仕様の一眼レフとして世界最小を謳っていたくらいですから、寸法的には両者の間に大きな違いはないのだけれど、電池と SD カード込みの本体重量で比べてみると、K-S2 の 678g に対し、K-S1 は558g。実に2割、豚こま 100g 以上も軽いのです。
ちなみに、手元にある K10D は 790g で、K-S2 購入時には 100g 以上の重量差をしみじみ堪能したのですが、同程度の違いがあるはずの K-S1 と K-S2 の間ではあまり実感できませんでした。K-S1 は K-S2 と異なりガッシリ握れるガングリップ形状ではないため右手で荷重を受け止めづらく、それが重さの感じ方の違いに繋がっていそうです。

K-S1 を構えてみると、撮影モード選択ダイヤルと十時キーが右手の親指と干渉して座りが悪い上に、意図せずボタンを押すことがあって、イラっ。小型単焦点レンズと絞り優先(Av)の組み合わせでしか、このカメラを使わない気がする私にとっては、不必要なまでに出しゃばりな存在かも。
また、背面液晶はデフォルトで常時点灯。消灯設定も選べるのだけれど、電源を切るとデフォルト設定に戻ってしまう謎仕様。電源を切らずに自動スリープに任せる場合は消灯設定が維持されるとはいえ、実に中途半端。K10D では、電源投入直後にステータスを数秒表示してからの暗転がデフォルトだし、まして K-S2 では(最初に設定だけ確認したら)画面が見えないよう液晶を裏返して使っている私からすると、撮影時に目元の下の方が明るいのは、とてもイヤなのです。

そんな操作上の気に入らない点は、慣れを待つとして。その一方で、発売当時から気に入っていたのが K-S1 のカタチ(落札理由その1)。標準ズーム付きのカタログ写真を目にした時には、丸くてモッサリとした印象を受けたのですけれど、店頭で実機を手にしてみたら、凝縮感のある、思いのほか端正なデザインで好しく感じられていたのですね。
「光る!回る!」レベルで散りばめられた LED や、やけに豊富なカラーバリエーションあたりが、チャラい雰囲気醸成に一役かっていたのでしょうが、LED 発光をオフに設定したブラックボディなんぞ、実にシックな佇まい。手元にある、シンプルなデザインの古い単焦点レンズを組み合わせてみたら、見た目にイイ感じでした。

今となっては SMC A 50mm/F1.7 レンズが羨ましい。
K-S1 の凸凹の少ないスッキリとしたフォルムとか、プラスチッキーな外装を眺めているうちに思い出したのが、昔のフィルムカメラ「P30」。P30 もエントリー機でしたから、立ち位置も似てますかね。

P30 の表紙写真にある A レンズの先代モデルで、手元にある現役最古のレンズ。
Aレンズと違って自動絞り機構がないため、現行カメラでは撮影に一手間かかる。
P30 の先輩格で数段上位の機種にあたる Super A と並べてみると、背面液晶つき AF 機だけに厚みが全然違うのだけれど、見慣れちゃうと同じくらいのボリューム感、かな。やっぱり、小さい(そこはペンタックス)です。
はてさて。これでようやく、小さな K-S2 のサブ機が大きく重い K10D、という状況から脱せられるというもの(落札理由その2)。加えてバッテリーも共用できますし、利便性までもが向上(同その3)。
撮影してみての印象は、追ってまた。ただ、画像処理周りは K-S2 と同じだから、絵的な違いはないのでしょう(同その4)。デジタル写真機としては K-S2 で満足してしまっているし、そのサブ機としては実に適切とはいえ、新鮮味に欠ける点は残念かな。
なんて言い始めると、新鮮味が欲しけりゃ今新品で売られているモデルを買えよって話に戻っちゃいますけど。きっと、メーカーからしてみれば、特に(ごめんよ)。しかしまぁ。発売から10年以上経過したデジカメについて、こんなにもつらつら記す気になるとは思いもしませんでした(笑)。