マニュアル好き

私らは、ちょうど色んなモノが「マニュアル操作が当たり前」から「自動操作が当たり前」に移りゆく過程にあった世代です。

例えば、クルマ。オートマ自体は大昔からあったにせよ、オートマ限定免許なるものが出現したのが、ちょうど私が沖縄で自動車免許を取ろうとしていた時期でした。当時は「オトコはマニュアル」が当たり前だったので、そこで敢えてオートマ免許を選択する男はヤヤ白い目で見られていたものです。

実際、内地で大渋滞にはまるとオートマは楽なんですけどね。沖縄では渋滞する地域が限定的で、その規模も大したことはないので、マニュアルでも問題なし。今更「オトコはマニュアル」というコダワリはありませんが、マニュアル車を選ぶことに抵抗がなく、かつ、マニュアルならではの楽しさを知っている。5速マニュアルのネイキッドを購入した理由は、そこらへんにありました。

そう遠くない未来、電気自動車が当たり前になったら、そもそも構造的にマニュアル・シフト(クラッチ操作)が存在し得ないので、この操作が出来る我々は無形文化遺産として表彰されることになるのでしょう。

もひとつ世代を絡めた私個人の特徴として挙げられるのが、一眼レフカメラ。その履歴は、露出計すらついていなかった祖父の KONICA FP に始まり、その後 PENTAX ME Super→Super A、そして銀塩AF世代をすっ飛ばして、PENTAX *ist Ds→K10D と続いています。

大学生のときに沖縄海洋博水族館の鯨類調査のお手伝いしていた際、撮影機材として持ち込まれたのが PENTAX LXとオートフォーカスのSFX。当時のオートフォーカスは遅いうえにオバカで、マニュアルフォーカスした方が速くて正確。この体験が、私のオートフォーカス・カメラに対する偏見を育んでしまいました(実際、90年代中盤までのAF性能は実用的ではなかったと思う)。結果、私のレンズは全てマニュアルで、カメラ本体もデジタル一眼購入までアップデートされることがありませんでした。

とうことで、今やカメラは新しいくせに、マニュアル・フォーカスで、レンズの絞り環がいじれて、露出もマニュアル主体という、捩じれた骨董人間の出来上がり。もっとも、カメラ側に絞りダイヤルが移行したAPSデジタル一眼の場合、MFレンズが使えるというだけで操作がちっとも楽しくないので、AFズームの方が気楽で良いなと、しみじみ感じておりますが。

そうそう。骨董といえば。

しばらく前、大学時代の友人家族と外食した時のこと。店のマッチをすってタバコに火をつけたら、子供が興味津々。なんでもマッチの存在を知らなかったそうな。その子にしてみると、擦ると火のつく棒なんて、まさに手品。確かに、いまどきマッチを目にする機会なんて、そうそうありませんものねぇ。

とはいえ。この世にマッチを知らん人がいるという事実に、心底驚かされました(笑)。

PENTAX *istDs

高校3年のときからペンタックス一眼ユーザの私。一昨年に*istDが出たときにかなり食指が動いたのですが、いかんせん先立つものがない。というか、果たして今、まだ完成されたとは言えない高価なデジ一眼を購入する必要があるのか?という思いが浮かんでは消えしているうちに1年が過ぎて行きました。そして*istDsが発売。4年ちょい前に購入した300万画素のコンパクトデジ・NIKON COOLPIX880とほぼ同価格まで売り値が下がってきた今年の正月、ついに財布の紐が弛んでくれました。

一眼レフとしては大学の時に中古で買ったSuper Aから15年ぶりの新機種(笑)。時が経っても、小型でかつシンプルなあたり、相変わらずペンタックスらしくてなにやら少しホッとしました。ただまぁ、プラスチックの丸みを帯びたボディには、一眼と言えばメタルでカクイという刷り込みのある私にはあまり魅力的ではありませんでしたが。

小型といっても、さすがに昔のカメラと比べると太って見えますよね。寸法上はそんなに違わないのですけれど…(横幅は*istDsの方が小さい)。ただその分、グリップした感じは良くって、重めのズームレンズを装着したときのバランスも良いですし、単焦点レンズをつけているときなどストラップをかけずに片手で掴んで持ち歩くようになりました。

私の所有レンズは全てマニュアル仕様(MとA)。マニュアルモード(M)で撮影するときに、シャッターを切る前に「AEロックボタンでで絞り込み測光」というステップが必要なのには慣れましたが、内蔵フラッシュ部のオーバーハングで絞り環が見づらいのが少々気分悪いですね。ファインダー内にはほとんど情報出ませんですし。もっとも、昔のレンズが今のカメラ(しかもデジカメ)で使えるだけでも嬉しいので、そこらへんはまぁ、許してやろう(でも改善してね)。Exifにレンズ&撮影情報がマトモに入らなくっても、まぁ許してやろう(でも改善してね)。という気持ちで過ごしております。

と、いいつつも。実際にあちこち持ち出していたら、やっぱデジカメはAFズームが楽しいのかなーなどと思うようになってきてしまいました。昔のカメラ(銀塩カメラ)の楽しみは「現像時の映像を想像してカンと経験を元にイロイロ調整しながら撮影」して「現像したときにイメージ通りなら嬉しい♪」あたりにあると思うのですが、デジカメだとその場で確認&修正できてしまうので、「仮に標準設定で撮影して、確認後に調整版を撮影」していくという変に作業的な撮影になりがちな気がします。それに*istDsのファインダーが良いとはいえ、所詮APSサイズのファインダーではマニュアルフォーカスがしにくくて、やっぱフォーカスする楽しみ以前にこれまた作業的に感じられてしまうのです。MF向きの交換スクリーンを出してくれれば印象も変わると思うのですけれども‥。

と、いいつつも。さいきん一眼を使わなくなっていたのが、*istDsを買ってからあちこち持ち歩くようになりました。ので、何だかんだ言ったって、オッケーな存在なのです。ランニングコスト(撮影枚数)を気にしないメリットが大きいのでしょうね。それに使っているうちに銀塩カメラ(というかマニュアル仕様の35mmフルサイズファインダーのカメラ)ならではの美点を再認識してきたので、案外Super Aと共存できそうだなぁ、という感じです。そういう意味でも私的にはちょうど良いポジションのカメラなのかもしれません。

取り返しのつかないモノ

あなたのお気に入りの愛用品は?

お気に入りというか、長年連れ添ってくれている偏屈モノを2点ばかしご紹介します。

○PENTAX Super-A

高校の頃は天文部に在籍していて、バルブ撮影で電力を消費しない ME Super を使っていたのですが、大学の専門課程で望遠レンズを使う必要が出てきたので、シャッター速度優先モードのついた Super A に買い替えました(どちらも中古ですけどね)。以降、バイクのツーリングに同行して日本各地の風景を撮ってくれたばかりか、それだけでは物足りなかったらしく、海外にもお付き合いしてくれました。

このカメラ、私的にサイズもデザインもツボであるのが嬉しいところ。設計思想として今の *ist D に通ずるものがあるような気がします(とうぜん?ソッチも欲しいです!)。もともと露出計すらついていない祖父のカメラ(KONICA FP)を手始めに一眼の世界に足を踏み入れたので、Super A の機能で満足してしまい、その後のAFやら多彩な撮影モードやらに興味を惹かれず(マルチ測光は少し羨ましいけど)、ず〜っと現役人生を送ってもらってます。

しかし。ずいぶん前にメーカーの交換部品が尽きてしまい、もはやオーバーホールすら叶わず、壊れたらそれきりの危機的な状態。いま手元にある銀塩カメラはコレだけなので、壊れたら困るなぁ。レンズもMFばかり5本あるし・・・。一方で、新品銀塩カメラに買い替えるくらいなら、*ist D (か後継機)に予算を回しそうな気分もなくはないですしねぇ。まぁ、がんばってくれよぉ、て感じです。

○SONY DAT Walkman WMD-DT1

デジタル録音機器が世に出た頃、DAT/MD/DCC なんて規格品が一斉に現れました。当時の私は、音を圧縮する録音機というのに生理的な嫌悪感を抱いていたので、迷わず DAT デッキを選びました(DCCを買った人はどうしているんだろう??)。当然ながら、外に音楽を持ち出すのにポータブルも必要となるので、必然的にウォークマンも後日購入。

使いはじめてもう十年くらい経ちますが、いままでトラブル知らず(デッキの方は3回くらい壊れてくれました)。単3二本で4時間くらい再生してくれるので、まぁ、当時の設計としては長寿命な部類ではないでしょうか。さて。知人が同じモノを使ってまして、さいきん壊れて修理に持ち込んだのです。が。これまた交換部品欠品で修理できないそうで・・・。

そんなんばっかやん。

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